
リフォーム業歴12年のエイトです!
どんなに大事に住んでいても、家は年月とともに少しずつ傷みが目立ってくるものですよね。
「あちこち傷みが目立ってきたし、そろそろリフォームが必要な時期かな」
「とはいえ、もうここまで傷んできたら建て替えを検討した方が実は安上がりなのかな……?」
そもそも、リフォームと建て替えでは何がどう違うのか、どちらが自分たちの状況に合っているのか、判断に迷う方も多いと思います。
この記事では、そんなあなたの疑問や悩みを解消するために「リフォームと建て替えの基本的な違いから、費用、工期、メリット・デメリット」までを比較・解説します。
建て替えとリフォームの基本的な違い
住まいの大規模な改修を考える際、選択肢となるのが「建て替え」と「フルリフォーム」です。この二つは似ているようで、その内容は大きく異なります。なので、まずは建て替えとフルリフォームの違いをお話します。
基礎からすべて新しくする「建て替え」
建て替えでは、現在建っている家を基礎の部分からすべて解体・撤去し、土地を更地の状態に戻します。基礎部分の老朽化が深刻な場合や、現在の間取りでは解決できない大きな変更をしたい場合に適しています。
例えば、キッチンを日当たりの良い場所へ移動したり、玄関や水回りを完全に分けた二世帯住宅にしたりするなど、大規模な間取り変更ができます。設計の自由度が高く、理想の住まいを一からつくり上げることが可能です。
基礎や構造を活かす「フルリフォーム」
フルリフォームは建物の基礎や柱、梁(はり)といった骨組みは残し、それ以外の部分を新しくつくり替える工事を指します。内装や設備、間取りの変更が主ですが、基礎や柱に劣化が見られれば、その部分の交換や補強も行います。
フルリフォームの規模は、建物の状態や希望によって様々です。代表的なものとして、外壁はそのままに内装をすべて解体する「内部スケルトンリフォーム」や、建物の骨組みだけを残して内外装ともに新しくする「内外部スケルトンリフォーム」があります。
費用面から見た建て替えとフルリフォームの比較
ここでは、建て替えとフルリフォームそれぞれにかかる費用を比較し、さらにコストを抑えたい方が知っておくべき点についても解説します。
建て替えの費用相場
建て替えにかかる費用の総額は、一般的に「3,000万円から5,000万円程度」が目安です。この費用は、主に以下の4つで構成されます。
- 解体工事費用
- 新築工事費用
- 地盤改良工事費用
- 諸経費
もちろん、家の規模や導入する設備のグレードによって費用は大きく変わります。例えば、都市部で一般的な30坪の家であれば総額3,500万円~4,500万円、二世帯住宅など50坪を超える規模になると総額5,500万円以上が目安となります。
これらに加え、地盤調査の結果、改良工事が必要と判断されれば別途費用が発生します。例えば、元々田んぼや沼地で地盤が弱い場合や、高台や丘など、ななめの土地を平らにならした場所で安全基準を満たしていない場合などです。
フルリフォームの費用相場
フルリフォームの費用は「800万円から2,000万円程度」と価格帯にかなり開きがあります。
間取りは大きく変えずに内装と住宅設備をすべて新しくする場合は800万円〜1,200万円、内装・水回りを新しくすることに加え、間取りの変更まで行うと1,200万円〜1,800万円かかります。
内外装の全面改修と合わせて、住まいの断熱・耐震性能を高める工事をすると1,800万円以上になります。また、解体する部分が多ければ廃材処分費が別途かかり、重量のある設備を運ぶ際には人件費や運搬費なども考慮する必要があります。
工期面で見た建て替えとリフォームの比較
工事にかかる期間も、計画を立てる上で重要なポイントです。長期間の工事では、今の家に住み続けることができないため、賃貸マンションやホテルなどの仮住まいを探す必要があります。
住みながらできる工事でも、騒音やほこりによって小さなお子様やペットのストレスになるなど、生活リズムに影響が出る可能性もあります。ここでは「建て替えとリフォームの工期」についてそれぞれ解説します。
建て替えにかかる期間
建て替えは、建築会社を探し始めてから新しい家に入居するまでに「1年ほど」かかります。この期間は準備期間と工事期間に分かれます。
準備期間には約4か月から8か月かかり、建築会社の選定、契約、各種申請手続き、そして工事前の準備を行います。特に建築会社の選定にかかる時間は人それぞれで、建築設計事務所に依頼する場合は契約までに半年以上かかることもあります。
実際の工事期間は約5か月から8か月で、解体工事、新築工事、そして新居への引越しという流れです。
工事が始まれば引き渡しまでのスケジュールはほぼ確定しますが、法務局への申請などが遅れると全体の工程に影響が出ます。書類の準備を依頼された際は、すぐに対応する必要があります。
フルリフォームにかかる期間
フルリフォームの工期は、建物の規模や構造、設計内容によって異なりますが、全体としては「約3か月から7か月程度」が一般的です。
まず、リフォーム会社の選定やプランの打ち合わせに2か月から3か月程度かかります。その後の工事期間は1か月から4か月が目安となり、建て替えに比べて短期間で完了します。建物の構造が木造か鉄骨かといった条件によっても、工期は多少変わります。
メリット・デメリットで比較する
建て替えのメリットとデメリット
建て替えのメリットは「間取りや設備の自由度が高い点」です。基礎からすべて新しくするため、断熱性、耐震性、省エネ性といった住宅性能を一から見直せます。
特に省エネ性能を高めれば、光熱費などのランニングコストを抑えられ、長期的に見れば初期投資の回収にも繋がります基礎や地盤の問題も抜本的に解決でき、最新の設備を制約なく取り入れられるのも大きなメリットです。
一方で、工事費用が高額になりやすいというデメリットがあります。解体費用と新築費用の両方がかかるためです。また、工事期間が長く、その間は仮住まいが必要になるため、引越しが二度発生する手間もかかります。
それ以外にも「再建築不可物件」に指定されている土地では、現在の家を取り壊すと新しい家を建てることができません。
これは、敷地が道路に2メートル以上接することを義務付けた「接道義務」を満たしていない場合などです。
フルリフォームのメリットとデメリット
フルリフォームのメリットは「建て替えに比べてコストを比較的安く抑えられる」ことです。既存の骨組みを再利用するため、解体する部分が少なく、廃材の処分費用も削減できます。工期が短く、工事内容によっては住みながらの施工も可能です。
また、家族の思い出が詰まった柱や梁(はり)など、愛着のある部分を残せるのもフルリフォームの魅力です。しかし、デメリットとして、既存の基礎や骨組みが残るため、間取りの変更にはある程度の制約があります。
また、工事を始めてからでないと分からない問題が発生する可能性もあります。例えば、解体してみたら骨組みや基礎の劣化が予想以上に進んでおり、追加の補修費用が発生するケースです。劣化が激しい場合は補修費用が高額になり、場合によっては建て替えが必要なこともあります。
建て替え・フルリフォームの最適な判断基準
建て替えとフルリフォームを決める判断基準は、以下5つを参考にしてください。
判断基準1. 建物の状態や思い入れで判断する
建物の状態が判断の大きな基準となります。シロアリの被害や構造部分の傷みが軽度であれば、フルリフォームで十分対応可能です。
また、「家族の思い出が刻まれた柱を残したい」「今の家を子どもに引き継ぎたい」といった、建物そのものへの強い思い入れがある場合も、その良さを活かせるフルリフォームが向いています。古民家のように、家そのものに資産価値がある場合も同じです。
一方で、築40年以上が経過し、建物の老朽化が全体的に進んでいる場合は、建て替えをおすすめします。目に見えない基礎や地盤、耐震性に問題がある可能性が高く、根本的な解決を図るには建て替えが確実です。
判断基準2. 実現したい間取りやデザインで判断する
どのような住まいを実現したいかによっても選択は変わります。「間取りを根本から見直して、水回りの位置も大きく変えたい」「最新の設備を揃えて、耐震性や断熱性も高めたい」という場合は、制約のない建て替えがおすすめです。
「大幅な構造変更は必要ない」「工期はできるだけ短くしたい」という場合は、フルリフォームが適しています。
判断基準3. 地盤の状態から判断する
地盤の改良が必要と判明した場合は、建て替えを選択すべきです。建て替えなら、一度建物をすべて取り払ってから、効率的に地盤の調査や改良工事を行えます。
フルリフォームで地盤補強を行うことも技術的には可能ですが、多くの場合、建て替え以上に費用がかかります。
特に2000年の建築基準法改正以前に建てられた家は地盤調査が義務付けられていなかったため、築年数が古い場合は追加費用が発生する可能性を考慮しておくことが大切です。
判断基準4. 将来の家族構成の変化を見据えて判断する
親との同居や子どもの誕生など、将来の家族構成の変化に対応して間取りを一新する必要があるなら、建て替えが最適です。間取りや水回りの位置を自由に決められるため、将来のライフスタイルに合わせた理想の家を実現できます。
逆に「子どもが巣立ったら引っ越すかもしれない」など、その家に長く住み続ける可能性が低い場合は、予算を抑えられるフルリフォームが適しています。
判断基準5. 予算から判断する
最終的には予算が決め手となります。2,500万円以上の予算を確保できる場合や、大規模なフルリフォームと建て替えの費用に大きな差がない場合は、資産価値も向上する建て替えがおすすめです。
一方で、「家を受け継ぐ人がいない」「コストパフォーマンスを重視したい」など、明確な理由でコストを抑えたい場合はフルリフォームを選択します。
【結論】建て替え・フルリフォームどちらを選ぶべきか
最後にまとめると、最適な選択は以下の通りです。
- 住宅の性能を根本から見直し、設計の自由度を最大限に求めるなら「建て替え」
- 今ある家の良さを活かしながらコストと工期を抑えたいなら「フルリフォーム」
最終的な決断をするためには、建物の現状を正確に把握し、将来のライフプランと照らし合わせ、確保できる予算を総合的に考慮することが必要です。